――現在の小児急性中耳炎診療での問題点は何でしょうか.
山中 小児急性中耳炎の臨床症状として,発熱や耳痛,不機嫌などがありますが,われわれは発赤や膨隆などの鼓膜所見が重要と考えており,「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版(ガイドライン2013)」でも重要視されています1).鼓膜所見が重要視される理由として,発熱,耳痛などの臨床症状は3日前後で90%近く改善する一方で,鼓膜所見は5日前後で20%程度しか正常化していないことが挙げられています2).つまり,臨床症状が治まった段階で中耳炎が治ったと考えられがちなのですが,鼓膜の炎症症状はその後も1~2週間続くことがあるため,その時点で抗菌薬治療を中止してしまうと,中耳炎の難治化や薬剤耐性菌の発生を招く可能性もあります.このようなことから,小児急性中耳炎診療においては鼓膜を観察しながら経過を追い,治癒に至るまで抗菌薬投与をすることが重要であると考えられます.
山中 小児急性中耳炎の臨床症状として,発熱や耳痛,不機嫌などがありますが,われわれは発赤や膨隆などの鼓膜所見が重要と考えており,「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版(ガイドライン2013)」でも重要視されています1).鼓膜所見が重要視される理由として,発熱,耳痛などの臨床症状は3日前後で90%近く改善する一方で,鼓膜所見は5日前後で20%程度しか正常化していないことが挙げられています2).つまり,臨床症状が治まった段階で中耳炎が治ったと考えられがちなのですが,鼓膜の炎症症状はその後も1~2週間続くことがあるため,その時点で抗菌薬治療を中止してしまうと,中耳炎の難治化や薬剤耐性菌の発生を招く可能性もあります.このようなことから,小児急性中耳炎診療においては鼓膜を観察しながら経過を追い,治癒に至るまで抗菌薬投与をすることが重要であると考えられます.