私は温泉町として知られる神奈川県の湯河原町に生まれ,自然豊かな大磯で育ちました.自宅は常に犬や鶏がいる環境であったため,幼少時より生物に興味を抱き,小学生の頃にはシュバイツァーやガガーリン,野口英世といった自然科学の伝記をよく読んでいたと記憶しています.
小さい頃,商店を営み忙しい両親に代わって私の面倒をよくみてくれたのは,慶應義塾大学病院で副病院長も務めた叔父(岩田 崇)でした.休日はよく映画館に連れていってもらいましたが,そういう日は,必ずといってよいほど感染症とワクチンの研究をしていた叔父の研究室に立ち寄り,ウサギの注射と採血に付き合わされていたような気がします.
その後,将来について考えるとき,漠然と科学者に対する憧れを感じて,高校時代には自然と医師を目指すようになりました.