小児科領域において問題となるクラミジア感染症1)は,トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis:C. trachomatis),肺炎クラミジア(Chlamydophila [Chlamydia] pneumoniae:C. pneumoniae)およびオウム病クラミジア(Chlamydophila [Chlamydia] psittaci:C. psittaci)の3種である.
小児におけるC. trachomatis感染2, 3) は,主として産道感染を伝播経路とする母子感染によって生じる.C. trachomatis感染母体が無治療で分娩に至った場合は,18~50%の児が結膜炎,3~18%の児が肺炎に罹患する.児の直腸や腟から,長期にわたってC. trachomatisが検出されることもある.C. trachomatis肺炎は,生後4~11週に発症することが多く,1週間以上の気道症状を伴う.また,約半数は既往歴を含め結膜炎症状を有する.通常は無熱であり,多呼吸,湿性咳嗽などの呼吸器症状を呈し,胸部X線上は間質性肺炎の像を示す.