2014年以降,これまで流行地でなかったアメリカ大陸で,蚊媒介性ウイルス感染症の1つであるジカウイルス感染症が流行し始めた.ジカウイルス感染症は発熱,発疹,関節痛などのいわゆる発熱性発疹性感染症として知られていたが,その経過は比較的軽症であることもあり,2015年のアメリカ大陸におけるジカウイルス感染症の大規模流行が発生するまで,あまり研究されていなかった.一方で,アジア,アフリカの熱帯・亜熱帯地域で患者が報告されていたころから,これらの地域で流行している感染症であることは知られていた1-5).しかし,2015年にジカウイルス感染症がアメリカ大陸で流行したことが歴史上はじめて確認された6).その際に妊娠女性がジカウイルスに感染すると,胎内で先天性ジカウイルス感染が起こり,小頭症などの障害をもって生まれる場合があることが明らかにされた7).
現在,ジカウイルス感染症は国際的,かつ,迅速な対策が必要な感染症と考えられる.本稿では,ジカウイルスのウイルス学的な特徴とその感染症について解説する.
現在,ジカウイルス感染症は国際的,かつ,迅速な対策が必要な感染症と考えられる.本稿では,ジカウイルスのウイルス学的な特徴とその感染症について解説する.