起立性調節障害(OD)は中枢神経性の自律神経機能不全であり,体動に伴う循環調節異常から引き起こされる脳循環,体循環不全によって,さまざまな身体症状や高次脳機能の障害が生ずる疾患である.前思春期から思春期に発症しやすく,軽症例は思春期の約10%,登校が困難となる重症例は約1%で,有病率は女子が1.5倍多い.症状は午前中の起床困難,全身倦怠,立ちくらみやふらつき,失神または失神様発作,動悸,息切れ,頭痛など,午前中に増強する.重症例では,集中力や記憶力の低下,意欲低下,生活活動性の低下をきたすほか,外出を嫌がり一日中寝そべって友人との交流も激減する,いわゆる不登校状態となる.不登校の3~4割はODとされる.症状は思春期うつと似ているが,循環調節異常があるため,抗うつ薬の服用で悪化することが多い.
診断は症状だけでなく,日本小児心身医学会のODガイドライン(ODGL)の診断アルゴリズムにしたがって新起立試験によるサブタイプの決定が必須である1).治療はODGLにしたがって非薬物療法から開始し,薬物療法を併用する.重症例では治癒までに数年以上かかり,その結果,うつ状態を併発することも少なくない.本稿では起立性調節障害とうつについて精神科医に知っていただきたい内容に絞って述べる.
診断は症状だけでなく,日本小児心身医学会のODガイドライン(ODGL)の診断アルゴリズムにしたがって新起立試験によるサブタイプの決定が必須である1).治療はODGLにしたがって非薬物療法から開始し,薬物療法を併用する.重症例では治癒までに数年以上かかり,その結果,うつ状態を併発することも少なくない.本稿では起立性調節障害とうつについて精神科医に知っていただきたい内容に絞って述べる.