はじめに  ステロイドホルモンは,生命維持に不可欠であるほか,抗炎症作用,免疫抑制作用などを持つ。このため,合成ステロイドホルモンは,種々の疾患の治療に欠くことができない薬剤として用いられている。しかし,生理的必要量以上の濃度になると,肥満,高血圧,易感染,精神症状などが出現し臨床上しばしば問題となる。本稿では,その中でもステロイドによる耐糖能異常の原因,診断,治療について概説する。