「エボラウイルス病とは」エボラ出血熱はフィロウイルス科に分類されるエボラウイルス(ebolavirus)による感染症である。エボラウイルスは5種に分類されるが,そのうち2013年末からシエラレオネ,リベリア,ギニアで流行している株はZaire ebolavirusである。なお,これまでは「エボラ出血熱」という用語が用いられてきたが,出血症状を呈する患者は全体のうちわずかであり「エボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD)」という病名が用いられるようになっている。
「EVDの疫学と2014年のアウトブレイクについて」EVDが初めて見つかったのは1976年のザイール共和国(現 コンゴ民主共和国)とスーダン(現 南スーダン)での同時アウトブレイクであった。それぞれ,Zaire ebolavirus, Sudan ebolavirusによるものと判明した。その後,東・中央アフリカを中心にアウトブレイクが起こっているが,Zaire ebolavirusによるアウトブレイクは致死率が高いといわれており,1995年の旧 ザイールにおけるアウトブレイクでは数百人の感染者が出ている1)。