超音波内視鏡下穿刺吸引(endoscopic ultrasonography-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)は,1992年に初めて膵腫瘍に対して施行された手技であり,その後本邦では2010年に保険収載され広く普及している1)。膵腫瘍におけるEUS-FNAの正診率は非常に高いことが報告されており2),正確な病理組織学的診断を行うことで,その後の治療方針を決定するための重要な手法であることに異論はないと考える。また偶発症発生率は1%程度と少なく3),主なものとしては出血や膵炎,感染などであるが,ここで大きな問題となるのがEUS-FNAによる播種,いわゆるneedle tract seedingである。EUS-FNAの目的が化学療法前の病理組織学的エビデンスを得ることであれば大きな問題とならないが,根治を求める外科手術を予定している場合,特に穿刺経路が切除対象に入らない膵体尾部病変において「EUS-FNAを施行するか否か」に関しては施設間で意見の分かれるところであり,このneedle tract seedingが今回のディベートの中心的な問題と考える。ただし今回取り上げる「膵腫瘍」としては,本邦ではEUS-FNAを原則禁忌としている膵嚢胞性病変を除いた「膵充実性腫瘍」として述べることとする。
誌上ディベート
膵体部病変の切除可能例に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を行うか
③各論を総括して
掲載誌
膵・胆道癌FRONTIER
Vol.8 No.1 19-20,
2020
著者名
幡丸 景一
/
北野 雅之
記事体裁
抄録
/
誌上ディベート
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
腫瘍内科
/
消化器内科
媒体
膵・胆道癌FRONTIER
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。