膵癌診療ガイドライン20161)(以下ガイドライン)によれば,膵癌の診断において,「細胞診,組織診は感度,特異度とも高く,膵癌と他の膵疾患との鑑別に有用であり,行うことを提案する」と記載されている。自己免疫性膵炎などの炎症性疾患や神経内分泌腫瘍などその他の膵腫瘍との鑑別は治療方針の決定において重要であり,また,膵癌を疑い膵切除術を行った5〜10%は切除標本に膵癌が証明されず,炎症性疾患であったとの報告2)3)もある。膵癌の診断において,細胞診と組織診を行う手段として,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)と超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)があり,感度や正診率はEUSFNAの方が高い。ガイドラインには「小さい膵癌では腫瘤の描出が困難なこともあり,EUSやEUS-FNA,時に膵管上皮内癌に対してはERCPと共に,細胞診や組織診による確定診断を専門施設において行うことが望ましい」とも記載されており,その高い診断能と低い偶発症率から,膵癌の確定診断においてEUS-FNAによる病理診断が推奨されている4)