利尿薬は,心不全の臓器うっ血に基づく呼吸困難,浮腫などの症状を軽減するために最も有効かつ不可欠な薬剤であり,実際心不全患者の90%に投与されている。心不全治療薬としての利尿薬には,ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬などのNa利尿薬に加えて,トルバプタンやカルペリチドも用いられる。トルバプタンは遠位ネフロンのバソプレシンV2受容体の選択的拮抗薬で,水利尿を促す。2010年よりわが国で使用が開始され,これまで多くの心不全患者に使用され,経験が集積されてきた。その結果,トルバプタンは臓器うっ血の改善作用が強く,腎機能への悪影響は少ないことなどがわかってきた。カルペリチドはNa利尿作用を有するが,血管拡張作用が主体であり,さらに多様な心血管保護作用や腎保護作用が報告されている。
【特集 わが国発の心不全における利尿薬研究の最前線】
特集にあたって
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.5 No.4 6,
2015
著者名
筒井 裕之
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
腎臓
診療科目
循環器内科
/
腎臓内科
/
手術・救急
媒体
Fluid Management Renaissance
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。