「Summary」1960年代,心不全は体液貯留からの臓器うっ血が主病態と考えられており,治療は利尿薬によるうっ血の解除(decongestion)が中心であった。その後,心不全の病態の形成および進行に神経体液性因子が大いに関与していることが相次いで報告され,神経体液性因子をなるべく活性化させない治療へのパラダイムシフトが起こった。これは究極的には,うっ血を治療することからうっ血を予防することへのパラダイムシフトと考えられる。しかし,それらの治療を最大限に行っても,いったんうっ血を生じると悪循環に歯止めがかからず入院に至る場合が多い。また,心不全治療後もうっ血が残存する症例の予後は不良であると報告されており,利尿薬による治療が行われはじめてから半世紀がたった現代の心不全治療においても,decongestionは心不全治療において重大な関心事である。
「Keywords」Decongestion,利尿薬,DOSE試験,Diuretic resistance