【特集 水利尿薬とNa利尿ペプチド―基礎から臨床から―】
NEP阻害薬の現状と将来
Current status and the future direction of NEPi
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.4 No.3 57-63,
2014
著者名
莖田昌敬
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茂木 正樹
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檜垣 實男
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堀内 正嗣
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
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高血圧
診療科目
一般内科
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循環器内科
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心臓血管外科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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泌尿器科
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老年科
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小児科
媒体
Fluid Management Renaissance
[Summary] ANP, BNPなどのNa利尿ペプチド系は, 以前より高血圧や心不全などの治療標的となりうることが知られていた. しかし, 当初開発が進められたNa利尿ペプチドの分解酵素であるNEPの阻害薬は降圧効果がほとんど認められなかった. そのため, 十分な降圧に加えて臓器保護などの多面的効果を期待してRA系/NEP阻害薬の開発が進められた. その結果, ACE/NEP阻害薬であるomapatrilatはACE阻害薬と比較してより高血圧や心不全に有効であることが示されたが, 一方で両薬剤の作用によってブラジキニンなどの産生が亢進した結果, 血管性浮腫の発現頻度が上昇し, 臨床応用はなされなかった. そのため, ブラジキニンの産生を抑制し副作用発現を最小化する薬剤としてARBとNEP阻害薬の合剤の創薬が進められ, LCZ696が開発された. 現在, わが国を含めLCZ696の臨床試験が進められており, 降圧効果や心不全改善効果, 安全性の評価を行っているところであるが, 現在報告されている結果からは十分な降圧効果や心不全改善効果を伴う忍容性の高い薬剤として位置づけられている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。