基礎講座 バソプレシンと心不全
第9回 バソプレシン分泌機構と薬物の関与
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.3 No.3 65-70,
2013
著者名
輿水崇鏡
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「はじめに」 下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンは, 視床下部の視索上核や室傍核の大細胞神経で産生され, 血漿浸透圧の上昇と血管圧受容器からの刺激によって下垂体後葉より分泌される. また, 小細胞神経で産生されたバソプレシンは, 下垂体前葉や脳内に広く神経伝達物質として作用する. バソプレシンの分泌は神経性・液性因子による調節を受けており, そのほかにも治療薬の副作用やストレスなどの影響を受ける. 本稿では, まず血漿浸透圧と血圧反射のそれぞれによるバソプレシン分泌経路の概略を述べ, それらに関わる神経性・液性因子を概説する. 続いて, 下垂体後葉からのバソプレシンの分泌を変化させることが知られる生理活性物質と薬剤について考察する. 「血漿浸透圧変化によるバソプレシン分泌」 視索上核や室傍核にはバソプレシンまたはオキシトシンを産生する大細胞神経が存在し, 下垂体後葉に軸索を伸ばす. 産生されたバソプレシンまたはオキシトシンはこの軸索に沿って輸送され, 神経細胞の興奮により下垂体後葉から分泌される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。