基礎講座 バソプレシンと心不全
第7回 中枢性尿崩症―バソプレシン分泌障害のメカニズム―
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.3 No.1 62-66,
2013
著者名
有馬寛
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「はじめに」抗利尿ホルモンであるバソプレシンは, 視床下部の視索上核および室傍核の大細胞において合成されたのちに下垂体後葉まで軸索輸送され, 血液中に分泌される. バソプレシンは腎臓においてV2レセプターを介して水の再吸収を促進することにより生体の水バランスを司っており, こうした抗利尿作用を有するバソプレシンの合成・分泌の障害により多尿および口渇, 多飲をきたす病態が中枢性尿崩症である. 「中枢性尿崩症の病態」中枢性尿崩症ではバソプレシンの抗利尿作用が欠如するため腎臓での自由水の再吸収が障害されて低張尿が持続し, 血清Na濃度は上昇する. 一般にバソプレシン分泌の血清Na濃度の閾値は140mEq/L前後であるのに対し, 口渇が生じる血清Na濃度の閾値は145mEq/L前後である. バソプレシン分泌が障害された中枢性尿崩症では, 血清Na濃度が145mEq/Lまで上昇すると患者はのどの渇きから水分を摂取し血清Na濃度が口渇の閾値をいったん下回るが, 低張尿が持続するため血清Na濃度がすぐに口渇の閾値に達する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。