【特集 低Na血症のすべて】
低Na血症の診断アプローチ―体液量評価をどのように行うか―
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.3 No.1 27-33,
2013
著者名
田中香代子
/
柴垣 有吾
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「Summary」低Na血症をみた際に, 低張性低Na血症の鑑別において体液量評価はとても重要であるにもかかわらず, 適切な評価は難しい. 体液量評価の際に重要な所見として, (1)体重, (2)バイタルサイン(血圧・脈拍・尿量), (3)中心静脈圧(カテーテルによる測定, 頸静脈による推定, 下大静脈径), (4)脱水・溢水を示唆する身体所見, (5)血液・尿検査所見, が挙げられる. 細胞外液量の評価の難しさを報告する論文も散見されるなかで, できる限り多くの指標を複合的に評価し, 診断率を上げることが重要であると考える. 「はじめに」日常の診療中に低Na血症の患者を診たら, 高張性低Na血症, 等張性低Na血症を除外し, 低張性低Na血症の鑑別を進めていく. 低張性低Na血症の鑑別診断を進めるうえで重要となってくるのが, 細胞外液量の評価である. つまり, 細胞外液量減少では脱水症, 細胞外液量増加では心不全・腎不全・肝硬変, 細胞外液量がほぼ正常では抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)や副腎機能低下, 甲状腺機能低下などのように鑑別が考えられるからであり, このような細胞外液量評価を取り入れた鑑別診断法は多くの標準的教科書に取り上げられている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。