【特集 “心腎連携”が必要な病態の理解と対策】
心不全における低Na血症
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.2 No.1 23-27,
2012
著者名
田中貴久
/
佐藤 直樹
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「Summary」古くから, 心不全における低Na血症は重篤な病態を反映し, 重要な予後規定因子であることが知られていた. その治療にはレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系抑制薬やβ遮断薬が推奨され, 慢性心不全の予後はこれらの薬物療法により改善されてきてはいるが, 依然として急性心不全患者は増加傾向にある. このような時代においても心不全における低Na血症は依然として注目されており, 背景にある病態と低Na血症をどのように改善するかが今後の心不全診療において重要な課題である. こうしたなか, バソプレシンV2受容体拮抗薬がわが国で心性浮腫の治療薬として使用できるようになった. この薬剤の最適な対象は低Na血症を伴う心不全である. この薬剤をどのように使うかも含めて, われわれは心不全における低Na血症の治療にしっかりと取り組む必要がある. 「はじめに」低Na血症は, 血清Na値<135mEq/Lと定義される. 低Na血症は報告によっては心不全患者の20~25%に存在するといわれており, 決して稀な異常ではない1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。