Summary  中枢性尿崩症および腎性尿崩症は,抗利尿ホルモンであるバソプレシンの欠乏ないし作用障害により口渇,多飲,多尿をきたす疾患である。したがって,腎集合尿細管においてバソプレシンV2受容体作用を阻害するバソプレシン受容体拮抗薬は,尿崩症の治療薬として本来用いられるべき薬剤ではない。しかし,予想外にも一部の非ペプチド性バソプレシンV2受容体拮抗薬が,細胞内でchemical chaperoneとして機能し,遺伝性腎性尿崩症における変異バソプレシン受容体蛋白のミスフォールディングを修復することにより抗利尿作用を発揮することが明らかにされた。その効果は薬剤ならびに変異の種類により異なることから,現在基礎的ならびに臨床的検討が進められている。