抗レトロウイルス療法(anti-retroviral therapy;ART)によりHIV-1は末梢血中でウイルスが検出不可能なレベルにまで抑制される。しかし,一部のHIV-1感染細胞がHIV-1の転写が起こらない潜伏感染状態となりARTを中止した際のウイルス血症再燃の原因となっており,HIV-1潜伏感染はHIV-1の治癒の最大の障壁となっている。HIV-1潜伏感染細胞におけるプロウイルスの状態,とくにゲノム上での組み込み部位や近傍のクロマチン環境を理解することは,HIV-1潜伏感染の克服に向けた戦略を考えるうえで非常に重要である。Hoらによりゲノムに組み込まれたHIV-1プロウイルスの大部分は欠損型で複製不可能な状態にあることが示されて以来,複製可能な完全長型プロウイルスに着目して研究が進められてきた1)。本稿では近年開発されたHIV-1プロウイルスの解析技術について紹介するとともに,エリートコントローラー並びに長期間ARTを受けているHIV-1感染者でのHIV-1リザーバー,プロウイルスの状態についての最新の知見を紹介する。
High-Impact Articles
HIV-1プロウイルスの解析技術
掲載誌
HIV感染症とAIDSの治療
Vol.15 No.1 82-84,
2024
著者名
松井 宏行
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
アレルギー・免疫
/
感染症
診療科目
その他
媒体
HIV感染症とAIDSの治療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。