50歳台男性。身長174cm,体重95kg。かねてから高血圧のため近医にて内服治療を受けていたが,アドヒアランスは不良であった。8年前に保健所でHIV-1感染症と診断され,エイズ診療拠点病院を受診した。

受診時,CD4細胞数 300/μL,HIV RNA量 100,000 copies/mL,B型肝炎ウイルス重複感染あり HBsAg陽性,HBV DNA(PCR) 4 log copies/mL, 血圧150/95mmHg,SCr 0.6 mg/dL,HbA1c 7.5%。

ラルテグラビル(RAL)+エムトリシタビンとテノホビルアラフェナミドの合剤(TAF/FTC)にて抗レトロウイルス療法(anti-retroviral therapy;ART)を開始し,6ヵ月後にはHIV RNA感度以下になった。その後はCD4細胞数500~600/μL,HIV RNA感度以下で経過。7年前1日1回服薬に変更の希望があり,ドルテグラビル(DTG)+TAF/FTCに変更。その際,SCr 0.6 mg/dLであった。その後もHIV-1感染症に関してはコントロール良好で,体重95~100kg,血圧160/95mmHg前後, HbA1c 7.0~7.5%で経過し,5年前のSCrは1.2 mg/dLであったが、最近になって腎機能が低下,糖尿病性腎症4期と判断されている。

今回の来診時のCD4細胞数 550/μL, HIV RNA <20 copies/mL, SCr 2.8 mg/dL, eGFR 23 mL/min/1.73m2, AST 25U/L, ALT 20U/L, HBsAg陽性,HBV DNA 1 log copies/mL。

今後のARTの選択についてどのように考えるか?