【症例】

30歳代,日本人男性

主訴:発熱,全身の皮疹。

既往歴:急性虫垂炎(保存的治療),水痘,梅毒。

現病歴:不特定多数の男性と性交渉をしている。見知らぬ男性と肛門性交(挿入側,コンドーム使用)を行った7日後に倦怠感を自覚した。その3日後に発熱,右鼠径部と陰茎に皮疹が出現した。さらに3日後には皮疹が全身に拡大し,肛門周囲の疼痛が出現したため,当院を受診した。

身体所見:体温36.4℃,血圧124/76 mmHg,心拍数86回/分,呼吸回数16回/分,SpO2 96%(室内気)。両側頸部リンパ節と両側鼠径部リンパ節に腫脹を認める。皮疹は丘疹と膿痂疹が混在しており,顔面,四肢,体幹に散在している(図1)。肛門周囲と陰茎部の皮疹は一部潰瘍化している(図2,3)。肛門周囲の潰瘍部に一致して強い疼痛を認める。