HIV感染症は抗レトロウイルス治療(anti-retrovirus therapy;ART)の進歩により生命予後は著しく改善した1)。十分なウイルス学的抑制が得られない症例が一部あるが,その原因は,服薬アドヒアランス等の問題で適切な薬剤血中濃度が得られていない,もしくは薬剤耐性ウイルスの存在がほとんどである2)。薬剤耐性がなく適切なARTでも血中ウイルス量低値が遷延することがあり3)4),中枢神経系や腸管のリザーバーが仮説として挙げられている5)。しかし適切なARTを行っても,血中ウイルス量高値が遷延している報告はない。
本症例は,服薬アドヒアランス良好で,薬物血中濃度も維持できており,複数回の遺伝子型解析で薬剤耐性が認められないにもかかわらず,10,000copies/mL以上の血中ウイルス量高値が1年以上持続しており,その原因はまだ特定できていない。
本症例は,服薬アドヒアランス良好で,薬物血中濃度も維持できており,複数回の遺伝子型解析で薬剤耐性が認められないにもかかわらず,10,000copies/mL以上の血中ウイルス量高値が1年以上持続しており,その原因はまだ特定できていない。