赤痢アメーバ症は,糞口感染により伝播する感染症で,性感染症として急速に国内に拡がる再興感染症として注目され,HIV感染者での罹患率が高いことでも知られている。病型は,時に致死的となる侵襲性感染(=アメーバ赤痢)と,他者への感染源として重要な無症候性赤痢アメーバ感染に大別される。感染症法の届出基準では,アメーバ赤痢のみが届出義務(5類全数把握)となっている一方で,感染者の約9割を占める無症候性感染については,届出義務となっておらず,その臨床像も知られていない。本稿では,見逃しがちな無症候性赤痢アメーバ感染を中心に解説する。
「KEY WORDS」無症候性感染,赤痢アメーバ,アメーバ赤痢,性感染症,血清抗赤痢アメーバ抗体