世界で初めて「エイズが治癒した症例」として,“Berlin patient”が報告されて10年になる2)3)。たまたま急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)を合併したHIV-1感染症例に対し,CCR5Δ32/Δ32というR5指向性のHIVが増殖できない遺伝的背景をもったドナーからの同種造血幹細胞移植(allo-Hematopoietic stem cell transplantation;allo-HSCT)の成果であった。その後10年にわたりさまざまな臨床研究が試みられたが,本稿でとり上げる報告が2例目である1)。移植が行われた場所にちなんで“London patient”と紹介されている。1例目の移植前処置に比べて,合併症や副作用の少ない方法が用いられ,今後の応用可能性が示された。抗ウイルス療法を中断後,18ヵ月間ウイルスの増殖がみられない状態を保っており“HIV長期寛解状態”と呼ばれている。この方法が有効であることを検証できたとともに,より多くの症例に“HIV寛解”をもたらすきっかけになる。
High-Impact Articles
造血幹細胞移植にてHIV感染が治癒した2例目の報告
掲載誌
HIV感染症とAIDSの治療
Vol.10 No.1 92-95,
2019
著者名
松下修三
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
感染症
診療科目
その他
媒体
HIV感染症とAIDSの治療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。