1996年に抗HIV薬を3剤以上併用する多剤併用療法が登場してから,HIV感染者の生命予後は飛躍的に改善した。当時は,血中のHIV RNA量を十分に抑制するためには,少なくとも3剤の抗HIV薬が必要であり,単剤もしくは2剤の抗HIV薬による不十分な治療は,HIVが薬剤耐性を獲得する原因となり得るため,原則的に「行ってはならない抗HIV療法」と位置づけられていた。現在のガイドラインにおいても推奨レジメンは核酸系逆転写酵素阻害剤(nucleoside reverse transcriptase inhibitor;NRTI)2剤に,インテグラーゼ阻害剤(integrase strand transfer inhibitor ;INSTI),プロテアーゼ阻害剤(protease inhibitor;PI),非核酸系逆転写酵素阻害剤(non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor;NNRTI)のいずれかを加えた3剤以上のレジメンとなっている1)。しかしながら近年の抗HIV薬は,抗ウイルス活性やgenetic barrierが当時の抗HIV薬よりも高くなっているため,2剤による治療も可能ではないかという考え方がでてきている。特に,長期的な抗HIV療法(anti-retroviral therapy;ART)による毒性を最小限にするため,維持療法としての2剤レジメン(2-drug regimen;2DR)が注目されている2)
今回紹介するのは,2DRとして初めて米国食品医薬局(Food and Drug Administration;FDA)に認可されたドルテグラビル(dolutegravir;DTG)+リルピビリン(rilpivirine;RPV)による維持療法に関する第Ⅲ相臨床試験(SWORD-1,SWORD-2試験)の報告である3)