HIV感染者の喫煙について
●患者は50歳男性。
●2週間前に心筋梗塞を発症。冠動脈三枝病変が判明し,術前のHIVスクリーニング検査にてHIV-1罹患が判明。
●心筋梗塞のリスクとして1日20本が30年以上の喫煙歴あり。
●「冠動脈バイパス手術は1~2ヵ月程度なら待つことは可能なので,内科的に体調を整えていただきたい」とのことでHIV専門医に紹介された。
●前医での初回検査ではCD4数 440個/㎣,血漿HIV RNA量 35,000copies/mLであった。
●患者は中小企業の社長。リスクは異性間でタイでのcommercial sex workerと考えられた。
●家族は妻が子宮頸癌で死亡し,息子が2人いる。
●初診日に患者より以下の希望があった。
 ①会社の経営のためなるべく合併症なく手術を終えたいとの希望あり。
 ②自分の父親は膀胱癌で死亡しているが,会社の後継者である息子のためにあと20年は働きたい。
 ③心臓血管外科医に禁煙を勧められたが,今まで何度も禁煙に失敗しており,禁煙したいが自信はない。禁煙することの医学的効果のデータを詳しく教えてもらえれば,禁煙できるかもしれない。
 ④しかし,HIVのことも不安で手術が終わったら禁煙したい。
 ⑤しかし,何か禁煙できる特別な方法があるなら,すぐ開始したい気持ちもある。
以上のような患者にどのようなアプローチされますか?