【症例】
30歳代前半,MSM。
主訴:HIV治療定期通院。
現病歴:3年前に保健所でHIV陽性判明,初診時のCD4値 281/μL,HIVウイルス量1.6×104/mL。同年抗HIV療法(antiretroviral therapy;ART)を開始して以来,経過は良好であった。3ヵ月ごとのHIV治療の定期通院として,当院を受診した。咽頭の自覚症状はなかった。
既往症:3年前HIV陽性。
家族歴:特記すべきことなし。
嗜好:機会飲酒,喫煙歴なし。
身体所見:両側咽頭に,弧状に広がる乳白色の粘膜疹を認めた。頸部および鼠径リンパ節触知せず。ペニス,陰嚢,肛門周囲,およびその他の皮膚に発疹を認めず。
血液検査所見:WBC 5,700/μL,RBC 455/μL,Hb 12.8g/dL,Plt 30.8×104/μL,AST 18 IU/L,ALT 21 IU/L,LDH 144 IU/L,CD4値 551/μL,HIVウイルス量<40/mL,RPR 290.0 R.U.,TP抗体 6,210.0 T.U.
臨床経過:受診10ヵ月前の血液検査でRPRおよびTP抗体は陰性であった。9日後に梅毒に対しアモキシシリン3g+プロベネシド750mg/日 14日間内服による治療を開始した。1ヵ月後再診時には咽頭の所見は消失していた。