味澤 2014年の国連合同エイズ計画(Joint United Nations Programme on HIV/AIDS;UNAIDS)では,2030年までのAIDS終結を目指してHIV予防のカスケード戦略「90-90-90」が掲げられました1)。これは2020年時点で世界中のHIV陽性者の90%が検査を受けて自らの感染を知り,そのうち90%が抗HIV療法(ART)を受け,さらにそのうち90%が体内ウイルス量を制御することにより,全HIV陽性者の73%でウイルス制御が可能になり,AIDSの流行が終息するという考え方です。ウイルス制御されたHIV陽性者ではコンドームなしでもHIV感染が生じなかったとする報告や2),HIV陽性者の1%にウイルス制御が生じるごとに地域における推定HIV罹患率は1.2%減少するとの報告3)から,有効な治療はHIV感染を予防することが明らかになっています。ただしアジア太平洋地域では,セックスワーカーや男性同性間の性的接触経験者(Men who have sex with men;MSM)などの対象層のうち,半数以上が自身の感染に気付いていないという課題もあります4)。
座談会(Round Table Discussion)
「90-90-90」に向けたHIV検査のあり方
掲載誌
HIV感染症とAIDSの治療
Vol.8 No.1 6-12,
2017
著者名
味澤篤
/
今村顕史
/
横幕能行
/
生島嗣
記事体裁
抄録
疾患領域
感染症
診療科目
その他
媒体
HIV感染症とAIDSの治療
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。