頭痛診療におけるPitfallと解決策
下垂体腫瘍に随伴する頭痛
掲載誌
Headache Clinical & Science
Vol.7 No.1 24-26,
2016
著者名
五島 久陽
/
鈴木 倫保
記事体裁
抄録
/
症例
疾患領域
神経疾患
診療科目
神経内科
媒体
Headache Clinical & Science
「症例」
72歳男性.頭痛の既往はなく(Pitfall①),高血圧,脂質異常症の既往があり,近位で定期通院加療していた.X年11月26日,重いものを持った直後に突然の頭痛と軽い複視が出現したため,近位総合病院を救急受診した.頭部CT(図)を施行されたが,明らかな出血性病変を認めず,頭痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)を処方され帰宅した.内服薬により頭痛はその強度は軽減されたが,その後も残存した.数日後より徐々に視力障害(物がぼやけてみえることがある),ふらつき,倦怠感,食欲不振を自覚するようになった.このためX年12月1日に再度同総合病院を受診したところ,脳神経外科を紹介された.同日緊急MRI(図)が施行された結果,下垂体腫瘍を認めた.また血液検査ではナトリウム(Na)126と低下を認めたため,下垂体卒中に伴う汎下垂体機能不全と診断され(Pitfall②),当院に紹介入院となった.入院同日より下垂体ホルモン補充を開始し,電解質異常は速やかに改善された.X年12月9日,内視鏡下経鼻下垂体腫瘍摘出術が施行され,汎下垂体機能不全は不変であったが,術前の視力障害,複視は改善され,頭痛も消失した(Pitfall③).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。