「サマリー」片頭痛にめまいが合併しやすいことは以前から知られている.今回,前庭性片頭痛(Vestibular migraine)として定義された疾患はこれまでさまざまな呼称で呼ばれていたものの総称ともいえる.脳幹性前兆を伴う片頭痛では片頭痛の前兆症状の責任病巣が明らかに脳幹と考えられるものとされる.この2疾患の一部はオーバーラップしており同一なものであるが,そのすべてが同一と言うことはできず,その診断には慎重を期す必要がある.その診断には正しい頭痛の知識とめまいの知識が必要であり,両面からの評価が必要である.

前庭性片頭痛(表),脳幹性前兆を伴う片頭痛はともに今回,国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3 β )で初めて記載された.片頭痛に関連しためまいは,これまで片頭痛関連めまい(migraine-associated vertigo/dizziness)1)2),片頭痛性めまい(migrainous vertigo)などとさまざまな呼称があり,統一の診断基準は存在しなかった.


※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.


総論/竹島多賀夫

・前庭性片頭痛は脳幹性前兆を伴う片頭痛と同一である/五島史行

前庭性片頭痛は脳幹性前兆を伴う片頭痛と同一ではない/工藤雅子

総括/竹島多賀夫