誌上ディベート
起立性調節障害に伴う頭痛は片頭痛か
掲載誌
Headache Clinical & Science
Vol.4 No.2 20-25,
2013
著者名
鈴木 則宏
/
大和田潔
/
田中英高
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
/
小児疾患
診療科目
脳神経外科
/
産婦人科
/
神経内科
/
麻酔科
/
小児科
媒体
Headache Clinical & Science
最近, 特に小児の頭痛診療に携わる専門家から, 片頭痛に起立性調節障害を伴うことがまれではない, との報告が目立っており, 話題になっている. 起立性調節障害は, 起立という体位変換による客観的な血圧低下現象とともに, 立ちくらみ, めまい, 動悸, 息切れ, 朝起きられない, 午前中調子が悪いといった, いわば不定愁訴的症候を起立時以外でも合併することが特徴とされているが, その実体は十分には明らかにされていない. この起立性調節障害に合併する特徴的な症状の1つに「頭痛」がある. しかし, 起立性調節障害に伴う「頭痛」に特徴的なものがあるのかどうか, という根本的課題が現在のところ明らかにされていない. 拍動性頭痛であり, 極めて「片頭痛」に近い性格を有する, とする指摘もある. さらに, 起立性調節障害には, 随伴する症状として腹痛(疝痛発作), 乗り物酔い, 食欲不振といった, 国際頭痛分類の「小児周期性症候群」に分類されているいくつかの特徴的症状をも含む概念も提唱されている. 一方, このような議論のなか, 起立性調節障害と片頭痛は全く別の独立した疾患である, とする考えもみられる. 本テーマ「起立性調節障害に伴う頭痛は片頭痛か」に対して, 小児の頭痛を数多く経験されている, 秋葉原駅クリニックの大和田潔先生にYESの立場から, 大阪医科大学小児科の田中英高先生にNOの立場から, 現在の論点を整理していただき, 誌上ディベートをお願いした. 起立性調節障害と片頭痛の関係が明らかにされ, われわれがこの課題に対して今後取り組むべき方向性と方法が浮き彫りにされることを期待したい. ※本企画はテーマに対して, あえて一方の見地に立った場合の議論であり, 必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。