頭痛診療Q&A
Q1 下垂体手術後に時々生じる難治性の頭痛の原因は? また,治療は?
掲載誌
Headache Clinical & Science
Vol.3 No.2 39-40,
2012
著者名
深見真二郎
/
池田幸穂
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Headache Clinical & Science
A 下垂体手術は, 巨大な腫瘍や側方進展が多い腫瘍以外は主に経蝶形骨洞手術で行われる. 以前は経口唇下アプローチが行われてきたが, 近年では, より低侵襲である経鼻孔的手術が主に行われている. Dusickらは過去に経口唇下アプローチを行った50例の経鼻孔的アプローチによる再手術を施行した症例を分析したところ, 80%の症例で経鼻孔摘出術の方が術後疼痛は軽かったと報告している1). 使用するdeviceは, 本邦でも約10年前より顕微鏡から内視鏡に移行する施設が増加しており, さらなる低侵襲化に向かっていると言えよう. 経蝶形骨洞手術は開頭手術に比べ, 頭痛も含む術後疼痛は軽く, 問題になることは多くはないが, 下垂体手術独特の術後合併症があるため, 注意が必要である. 術後の頭痛にはさまざまな原因が考えられるが, 術直後より起こる頭痛と, 遅れて起きる比較的難治性の頭痛がある. 手術直後の頭痛は, 多くは手術操作による鞍隔膜の刺激や低髄圧によると考えられ, 非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)等の内服によりコントロール可能のため問題になることは少ない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。