誌上ディベート
薬物乱用頭痛は原因薬物をすぐに中止すべきか
掲載誌
Headache Clinical & Science
Vol.3 No.1 19-29,
2012
著者名
荒木 信夫
/
柴田 護
/
飯塚 高浩
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Headache Clinical & Science
頭痛は, 神経内科外来に限らず, あらゆる場面で遭遇する訴えであるが, 頭痛薬の飲み過ぎで頭痛が起こることは十分に理解されていない. 急性期頭痛治療薬(エルゴタミン, トリプタン, 鎮痛薬, オピオイド)の乱用による頭痛の頻度は高く, 頭痛患者の約8%に薬物乱用頭痛(medication overuse headache; MOH)がみられるとの報告もある1). 片頭痛や緊張型頭痛の患者において, 薬物乱用中に新しいタイプの頭痛が出現したり, 片頭痛や緊張型頭痛が著明に悪化した場合は, MOHを考慮すべきである2). 日本神経学会の「慢性頭痛治療ガイドライン2002」3)で示す薬剤長期乱用に伴う頭痛治療の基本として, (1)原因薬剤中止, (2)薬剤中止後に起こる頭痛への対処, (3)予防薬の投与が基本とされている. (1)については漸減する方法より即時中止する報告が多く, (2)に関してはナプロキセン, トリプタン系薬剤, プロクロルペラジンの投与が有効であるとの報告がある. (3)は本邦で発売されている薬剤として抗うつ薬のアミトリプチリンが二重盲検試験での有効性が報告されている. しかし, (1)の原因薬剤の中止に関しては, すぐに中止すべきか, すぐには中止すべきでないかは, 意見の分かれるところである. 今回のディベートでは各々の立場に立って, この両者の意見を戦わせていただきたい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。