要 約
肝切除やラジオ波凝固療法(RFA)による「根治」が可能な3cm以下かつ3個以内で発見された肝細胞癌(HCC)155例が,治療経過中に何回再発し追加治療して治療が反復されるかをretrospectiveに検討した。症例は2004年までの4年間に初回治療として肝切除を行った53例とRFAを行った102例で,若年で良好な肝機能を有する症例ほど肝切除術を受ける頻度が高かった。
初回肝切除・RFAを施行した症例の初回再発率は,5年でそれぞれ60%・78%で,RFA群で有意に高かった。ICG15分値30%未満の肝機能良好例に限ってみると,肝切除64%,RFA 74%とその差は縮まった。初回再発に寄与する独立要因をみると,HBs抗原陰性例で初回再発のハザード比は1.92,RFA治療が1.76で有意であった。平均観察期間5.4年間の再発治療の延べ回数は,肝切除群3.43回,RFAで4.27回であった。繰り返し再発に寄与する要因をPrentice-Williams-Petersonモデルで検討すると,初回治療RFA(ハザード比1.40),HBs抗原陰性(ハザード比1.37),65歳未満(ハザード比1.23)が有意な要因であった。RFA群では初回再発率が高い影響が強く,反復再発もやや多い結果となった。
全文記事
Topics of HCC
肝細胞癌の反復再発と治療介入の実態
掲載誌
The Liver Cancer Journal
Vol.3 No.4 37-40,
2012
著者名
池田健次
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
媒体
The Liver Cancer Journal
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。