Q1:パーキンソン病患者でみられる運転能力の変化はどのようなものですか?また,運転中に起こり得る危険はどのようなことがありますか?
A:パーキンソン病(PD)は無動や筋強剛,振戦,姿勢反射障害を四徴とし,PDの運動症状が進行すると歩行障害や転倒が増加するだけでなく,病状の進行に伴い運転中の判断力の低下や運転時のハンドリングミスが増加することが報告されており,自動車運転における事故のリスクが高まることが予想される疾患である1)。筆者らが自動車運転シミュレータを用いた検討では,Unified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS)のPartⅠ~Ⅳの合計点,UPDRSのPartⅢのみの合計点と,運転シミュレータを用いた単純なハンドル操作のミス回数,信号に対する反応とハンドル操作を同時に行ったときのミス回数は相関を認め,UPDRSの点数が高くなるに伴いハンドル操作のミスが増加した。また,UPDRS PartⅢの姿勢反射障害を示唆する項目でも,点数が高くなるに伴いハンドル操作のミスは増加しており,姿勢反射障害が2以上ではハンドルの誤操作が増加した。