パーキンソン病の非運動症状の1つである嗅覚障害. 運動症状より早期に認められる症状として注目され既に研究が多数行われている. 一方, 病理学的にはBraak博士のdual hit hypothesisの1つの経路である嗅球が着目されており, 上行経路だけでなく嗅球扁桃核経路の存在も指摘されている. 嗅球に障害をもたらす経路は, 少なくとも扁桃核から至るものと, 嗅球から扁桃核へ至るものと2経路は存在すると思われる.
「はじめに」パーキンソン病(PD)は振戦, 無動, 固縮, 姿勢反射障害といった, いわゆる運動症状の他に多彩な非運動症状を呈することが近年の研究で判明している. 非運動症状には睡眠障害, 気分障害, 自律神経障害, 高次脳機能障害, 嗅覚障害, 精神症状などがある. なかでも嗅覚障害は運動症状出現より前に認められることが報告されている. 本稿ではPDと嗅覚障害について最新の知見を概説していく.