よくわかる病理診断報告書
Q19 胸・腹水の病理検査におけるセルブロック法について教えてください
掲載誌
CANCER BOARD乳癌
Vol.6 No.1 50-51,
2013
著者名
森谷 卓也
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
CANCER BOARD乳癌
胸水・腹水, あるいは心嚢水などの体腔液中に癌細胞が出現する場合には, 播種転移に相当し, 進行癌であることを意味しています. また, 癌性の体腔液を契機に発見される原発不明癌症例もしばしば見受けられます. 体腔液内の癌細胞を診断する際には, 癌が存在することの確実な判断とともに, すでに原発巣が明らかな症例ではその癌の転移であることの証明, 原発不明癌の場合には組織型判定と原発巣の推定が求められます. 特に後者の場合には, 体腔液以外に診断の拠り所がない症例もあり, 治療選択の面からも極めて重要です. なお, 体腔液にはあらゆる悪性腫瘍細胞が出現しますが, さまざまな臓器原発の腺癌が最も高頻度に出現します. 体腔液の形態学的診断は, 穿刺吸引検体による細胞診検査が一般的で, パパニコロウ染色やギムザ染色などを施して形態を観察します. 簡便で有用な検査手法ですが, 同時に採取される反応性中皮細胞や組織球との鑑別を要する例や, 腺癌が発見されたとしてもさらに原発巣の推定が容易でない例が存在します.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。