概要  St.Gallen国際会議あるいはNCCNガイドラインでは,ER陽性HER2陰性乳癌の術後補助薬物療法は「内分泌療法単独」あるいは「化学療法後の内分泌療法」が推奨されている。しかし,どのような症例でどの化学療法がどのタイミングで必要でありかつ有効であるかは不明である。ER陽性HER2陰性乳癌は,従来のアントラサイクリンおよびタキサンによる術前化学療法では高いpCR率が期待できず,さらにpCRが必ずしも予後予測因子ではない。一方,国内での早期乳癌患者に対する経口FU剤の術後補助療法の臨床試験のサブセット解析からER陽性乳癌では内分泌療法に経口FU剤の上乗せ効果が示唆された。以上から,再発中間リスク以上のER陽性HER2陰性乳癌を対象に標準的な化学内分泌療法では克服できない不顕性の微小転移が内分泌療法にS-1を併用することで制御可能かどうか検証する試験が計画された。