乳癌治療における間質性肺炎  癌治療における間質性肺炎といえば,薬剤性肺障害としての間質性肺炎が真っ先に思い浮かぶ。薬剤性肺障害とは,薬剤によって誘発される種々の呼吸器病変であり,大きく分けて,①肺胞・間質領域の病変,②気道病変,③血管病変,④胸膜病変に分類される 1)。このなかで最も頻度が高く,臨床的に重要な病変は,間質領域の病変すなわち間質性肺炎である。薬剤による間質性肺炎の病態については,一般的に細胞障害性機序または免疫系細胞の活性化が関与すると考えられている 1)。抗癌剤は細胞毒性があるため,前者の機序が大きく関与することが推測されるが,実際には機序が詳細に解明されている薬剤はほとんどない。  また,乳癌治療は放射線治療が行われる機会も多い。放射線治療に関連した間質性肺炎としては,放射線肺炎と放射線照射後の器質化肺炎(bronchiolitis obliterans organizing pneumonia:BOOP症候群)が知られており,乳癌治療に伴う間質性肺炎の病態は多様である。  以下に,薬剤性間質性肺炎の診断とマネジメントについて解説し,薬剤性間質性肺炎および放射線治療後の器質化肺炎について具体例を提示する。