胃癌化学療法の臨床試験においてPFSがOSの代替エンドポイントとなりうるかという点について近年まで討論されることがほとんどなかったが,新薬開発の必要性や近年のグローバル試験における地域差から,この点が話題に上る機会が増えている。36の比較試験を対象とした文献データベースの解析によると,PFSもしくはTTPのHRとOSにおけるHRの相関係数(ρ)は0.80とある程度の相関を認めたが,二次治療使用割合が増えるとPFS/TTPのHRとOSのHRが乖離する傾向にあった。2011年のASCOにおいて報告された患者個別データを用いた解析によると,20試験において患者レベルのPFSとOSの相関は相関係数0.834と強く相関していたが,試験レベルの相関は説明係数(R2)0.61と中等度の相関にとどまった。以上より,これまでの検討のみからはOSに対するPFSの代替性は,胃癌や大腸癌における術後補助療法のDFSとOSと同様な強い相関を認める結果にはなっておらず,PFSを進行胃癌における化学療法の臨床試験における主要エンドポイントとして用いることが適切かどうかについてはさらなる検討の余地がある。
全文記事
State of the art(胃がんperspective)
胃癌におけるPFSとOSの相関について
掲載誌
胃がんperspective
Vol.4 No.3 22-28,
2011
著者名
設楽 紘平
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
胃がんperspective
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。