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レジデントからのQ&A
殺細胞性抗癌剤と分子標的薬の違いについて教えてください
掲載誌
胃がんperspective
Vol.3 No.2 42-44,
2010
著者名
中島貴子
記事体裁
Q&Aシリーズ
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全文記事
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
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呼吸器内科
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産婦人科
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消化器内科
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泌尿器科
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血液内科
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腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
胃がんperspective
「A」従来より抗癌剤と呼ばれ投与されてきた多くの薬剤は, 癌の無限増殖に伴うDNA合成や細胞分裂を阻害することにより癌細胞を死滅させる作用をもつため, とくに「殺細胞性抗癌剤」と言われます. アルキル化剤, 代謝拮抗剤, トポイソメラーゼ阻害剤, 微小管阻害剤, 抗腫瘍性抗菌剤, ホルモン療法剤などに大きく分類されます. 一方, 癌細胞および腫瘍環境で発現や機能が亢進している分子, すなわち癌の特性を規定する分子を標的として, その機能を制御する作用をもつ薬剤の開発が1990年代後半よりさかんに行われるようになりました. これが「分子標的薬」です. 標的分子が明確であるため, 個々の癌の標的の状態により治療効果の予測が可能となり, テーラーメード治療をより現実に近いものとした治療です. 標的とする分子, pathwayによって, キナーゼ阻害剤, 血管新生阻害剤, プロテアソーム阻害剤, エピジェネティクスを標的とした薬剤, 細胞周期阻害剤, アポトーシス関連因子を標的とした薬剤, 表面抗原を標的とした薬剤などに分類されます.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。