「Summary」 潰瘍性大腸炎に合併するdysplasiaに対しての治療適応は組織学的な評価によって適応が異なるため, 正確な診断が求められる. 一方で癌を合併する場合には切除術の絶対的適応となる. その切除範囲, 直腸粘膜切除, およびリンパ節郭清の程度については, 癌の局在部位や深達度, あるいはリンパ節転移の有無と同時に, UCの活動性の評価とともに判断されなければならない. そして, 特に大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術が実施される場合には, 癌の根治性とともに肛門機能温存の両立が求められる. 患者に対してさまざまな選択肢を提示でき, 高度な技術と良好な治療成績が求められるこの領域における究極の手術であり, 一定の条件を兼ね備えた専門施設で実施されるべきである. 「はじめに」 わが国において潰瘍性大腸炎(UC)の患者数は年々増加傾向にある. そして発症後の経過年数が長期となる症例の割合も増加してきている.