Summary  大腸癌は日本において最も頻度の高い癌の一つである。なかでも3型大腸癌はほぼ全例が漿膜下層まで浸潤しており,予後が悪いとされる。今回,2型と3型大腸癌の臨床病理組織学的相違点を明らかにするため,国立がん研究センター中央病院で切除された症例を,臨床,組織,予後に分けて検討した。その結果,3型大腸癌では閉塞に関連した症状が約半数を占め,すべての症例で漿膜下層以深への腫瘍の浸潤が認められた。さらに,2型に比較してリンパ管侵襲の発生リスクが5.7倍に,神経周囲浸潤の発生リスクが6.5倍に,リンパ節転移の発生リスクが4.7倍になることが明らかになった。2型と3型の分岐点として,リンパ管侵襲と神経周囲浸潤があげられ,両者を分類することにより進行度と予後を推測し得る可能性が示唆された。