良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(benign adult familial myoclonus epilepsy:BAFME)は,稀発の全般強直間代発作と振戦様ミオクローヌスを主徴とする常染色体顕性遺伝形式を示す疾患である1).1950年代からもっぱら日本で症例報告が相次ぎ,その後1990年代に国際的にも疾患概念が確立された.以後,電気生理学的検査をはじめとする臨床所見の検討,さらにここ数年は遺伝学的診断の発展が目覚ましく,2018年にイントロン領域でのTTTCA/TTTTAリピートの伸長変異が原因遺伝子として報告された2).「良性」とあるが,患者の一部は中年期以降症状の進行や小脳性運動失調・認知機能障害などもみられ,現在は進行性ミオクローヌスてんかん症候群の一疾患とされている(厚生労働省指定難病309).欧州ではおそらく同一と考えられるEuropean BAFMEはfamilial adult myoclonic epilepsy(FAME)の名称で報告されてきた.
本疾患が日本をはじめとするアジア,欧州から広く各国で症例報告,研究報告が増えつつあるなか,2022年5月27~28日に本疾患の世界初のBAFME/FAME国際workshopが,国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy:ILAE)承認のworkshopとして,イタリアのナポリにてハイブリッド形式で開催された.総勢60名以上の研究者が欧州・アジアなど世界各国から参加した.近年,遺伝子異常が解明されて以降の,臨床症状,電気生理学的所見,画像,治療,今後の研究の方向性などが包括的に活発に議論された.筆者は同workshop に参加し,このたび聴講記執筆の機会を賜った.