てんかんからみる人物の横顔~異論異説のてんかん史~
第14回 ナポレオン・ボナパルト
掲載誌
Epilepsy
Vol.7 No.2 67-72,
2013
著者名
松浦雅人
記事体裁
抄録
疾患領域
神経疾患
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
精神科
媒体
Epilepsy
軍事訓練には熱心でなく, 手当たり次第の読書三昧にふけった. 特に歴史と地理に関心をもち, 陸軍資料保管室の図面や地図をむさぼるように読んだ. 「はじめに」ナポレオンは軍事の天才で, フランスの英雄である. すべてを機敏に明確に洞察する知力と, 小さな身長にもかかわらずたぐいまれな肉体的耐久力と, そして率直さと人を引きつける不思議な魅力がある. 最も困難な問題に対してもすばやく適応し, 休息もとらずに次々と仕事を成し遂げる異常な集中力がある. フランス革命の混乱を終息させ, 自由と平等の革命の成果を取り入れ, 現代社会の基礎を築いた人類史上希代の英雄ともいわれる. ナポレオンは自らの広報・宣伝においても優れた才能を発揮した. 豊富な読書量により, 活字媒体の強さを知っていたと思われる. 新聞や雑誌などのあらゆる情報手段を駆使して「革命の子」のイメージを演出した. 絵画や彫刻などのさまざまな芸術表現を利用して, 人の心を動かすことの巧みさはあたかも俳優のようであった.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。