涙液層安定性低下および角膜上皮障害を評価しうる指標を開発し,ビデオケラトグラファに適用することでドライアイの新しい非侵襲的評価法に応用できる可能性を示した。
ドライアイにおいて,その本質である涙液層安定性低下およびその結果として生じる角膜上皮障害の評価は重要である1)2)。これらの評価にはフルオレセイン染色を用いた細隙灯顕微鏡検査が有用であるが,その評価には一定の習熟を必要とする。非侵襲的なドライアイ評価に応用できうる既存の眼科検査として,インターフェロメータ3),サーモグラファ4),波面収差解析装置5),ビデオケラトグラファ6)などが過去に報告されているが,涙液層安定性低下および角膜上皮障害の両方を同時に定量的に評価しうる方法はなかった。そこで,われわれはビデオケラトグラファに着目し,マイヤーリング像の乱れの程度を定量的に評価しうる指標を開発し,ドライアイの眼表面の評価における有用性,またドライアイの3つのサブタイプ,すなわち蒸発亢進型ドライアイ(IEDE),水濡れ性低下型ドライアイ(DWDE)および涙液減少型ドライアイ(ADDE)の鑑別における有用性を検討した。