ドライアイは,涙液および眼表面の複合的な多因子性の慢性疾患である。ドライアイ診療はこの約20年で大幅に進歩し,診断,治療方針が概ね確立されたといえる1)。近年は,ジクアス®とムコスタ®点眼剤を中心に,涙液不安定性の原因を層別に診断した上で,それらの異常原因に適した治療を選択する(tear film oriented therapy:TFOT)という局所治療方針がとられるようになっている。
一方で,ドライアイの疾患背景は複雑であり,リスクファクターにはVDT作業負荷やコンタクトレンズ装用,加齢などが挙げられ,高齢化社会の進行やスマートフォンの普及に代表されるような全世代でのIT化をはじめとした生活習慣の変化などにより罹患率が上昇していると推察されている。
ドライアイはlifestyle diseaseの一つであるという概念のエビデンスが蓄積されてきているなか,TFOTに基づく点眼治療に加えて,ドライアイを一括して介入する全身的なアプローチも有効な治療や予防対策の選択肢として期待されている。