特集 炎症性腸疾患を解き明かす─今後の解決すべき問題に向けて─
5 腸内細菌の制御は炎症性腸疾患の根本治療となるか?
掲載誌
THE GI FOREFRONT
Vol.12 No.1 40-44,
2016
著者名
西田淳史
/
安藤 朗
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
診療科目
消化器内科
媒体
THE GI FOREFRONT
炎症性腸疾患は,慢性・再発性の腸管炎症で,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn’s disease:CD)に代表される疾患である。その原因は不明であるが,遺伝子的な素因があり,腸内細菌や食事抗原といった環境因子が引き金となり腸管免疫が活性化され,炎症が惹起,持続すると考えられている。近年,次世代シークエンサーによるマイクロバイオーム解析などの腸内細菌解析法の進歩により,炎症性腸疾患における数的変化に加えて,機能的変化(dysbiosis)の関与が明らかとなっている。このdysbiosisが腸管免疫の異常へと繋がっていると考えられる。これらの研究の成果により,dysbiosisを有する疾患に対して,プロバイオティクスや糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation:FMT)などの腸内細菌叢をターゲットとした治療が注目され,報告も増加してきている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。