【特集 腸内細菌とアンチエイジング】
1 ヒト腸内細菌叢研究
Human Gut Microbiome
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.9 No.5 20-25,
2013
著者名
須田亙
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
消化器
/
アンチエイジング
診療科目
一般内科
/
消化器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
アンチ・エイジング医学
「はじめに」ヒトの体に常在する常在菌の細胞数は100兆以上と推定されている. これはヒトの細胞数である60兆を大きく上回る数である. 腸内は最も多くの常在菌が存在する部位であり, 1gの糞便中の細菌数は10 11~12および約1,000種の細菌種が生息していると見積もられている. これらの細菌群(腸内細菌叢)は, 宿主の健康状態に関与していると考えられている. 腸内細菌叢には多くの難培養性の細菌が含まれているため, 培養を介した解析アプローチでは, 菌叢全体の構造やその動態および機能の理解には及ばない. このため, 従来から, 培養を介さずに試料から直接回収されるDNAの配列をシークエンシングし, 得られた配列データを指標とする解析手法が用いられてきた. しかし, 腸内細菌叢を構成する菌種の多さや, 個人間での菌叢の違いの大きさに阻まれて, 全貌の理解は困難であった. 2005年以降, 従来のシークエンシング技術(サンガー法)とは原理の異なる次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer:NGS)が急速に発達している(表1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。