皮膚科医が最も見逃しを恐れる疾患のひとつが,メラノーマである.一見すると何の変哲もない,いわゆる“ほくろ”のような外観でありながら,真皮に数ミリ浸潤しただけで,遠隔転移をも起こし得る悪性度の高い皮膚がんである.近年,免疫チェックポイント阻害薬などの進行期メラノーマに有効な新薬の登場により,メラノーマの予後は改善しつつある.しかし,腫瘍細胞の真皮への浸潤の程度を表す腫瘍厚は,メラノーマの強力な予後予測因子のひとつであることが示すとおり1),早期発見はメラノーマの予後改善において,依然として最優先事項である.本稿ではメラノーマの早期発見のための,コンピュータを用いた自動診断支援の現状について,私見を交えながら述べる.