ブルーリ(Buruli)潰瘍は,非結核性抗酸菌のMycobacterium(M.)ulceransや,わが国においてはその亜種(M.ulcerans subspecies shinshuense)の感染により皮膚潰瘍を形成する疾患である1).本症は熱帯地域に多く,WHOが指定する「顧みられない熱帯病(neglected tropical diseases)」にも含まれるが,熱帯地域だけでなく,わが国も含めた世界30カ国以上で報告されている.国立感染症研究所のまとめ2)によれば,わが国では2022年末までに85例が報告されており,筆者の勤務する滋賀県では現在までに11例と,都道府県別では岡山県に次いで多くの症例が報告されている.ブルーリ潰瘍はヒト-ヒト間では感染しないとされており,その詳細な感染経路や地域差の理由は未解明である.